『八興会館』 その5

 八興会館が一番素晴らしかったのは、紀伊右エ門が私費で建設をしたことではありません。紀伊右エ門の志に賛同した人が人を呼び、金銭とは無縁の関係で組織されていったことにあると私は思います。

 道場ができて、そこで教える先生は、ボランティアでした。また子供たちからは月謝なるものは取らなかったと聞いています。各地で大会があると、紀伊右エ門が無償で連れていく。八興会館で行われる大会の景品は一八がスポンサー。純粋に子供たちが剣道柔道に打ち込める環境を作っていたのですね。

 先生方は日中の仕事でお疲れなのにもかかわらず、熱心に指導してくれたとだれしもが口をそろえて言います。その熱心さが子供たちの稽古にかける気持ちを引き出していたのではないでしょうか。すべてがお金で動く現代とは明らかに違う、“人を育てる”場所であったと思います。

 管理人の大泉さんから教えていただいた、気弱な小学生のお母さんの言葉を紹介します。「人より早く来て、道場の隅をずっと板ふきをする。人のしていない事をして、心が強くなってほしい」

 指導された先生、協力していただいた父母のみなさん、改めて申し上げます。八興会館を支えてくださり、ありがとうございました。写真は昭和58年7月10日、岩内中央小学校で開催された、岩内八興会館二十周年記念剣道大会です。

 バックナンバーはこちらをクリックしてください。

 その1  

 その2

 その3

 その4

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です